高校を卒業する君たちへの公開書簡

投稿日2020年3月16日 クリス・ダイアー

高校を卒業する君たちへ

金曜日午後、学校終了のベルが鳴り終わった後、高校3年生数人が、私の教室に入ってきました。みんな、プロムパーティー(アメリカの高校の社交行事のダンスパーティ)や卒業旅行のことを心配していました。生徒の話を聞いているうちに、教師として胸が張り裂けそうになりました。今、これから卒業を迎えようとしている君たちも、これを読んできっと同じように心配していることでしょう。

今年は君たちにとって大切な一年だったはずです。 高校最後の年のプロムパーティー、スポーツイベント、チアリーディング大会、修学旅行、部活動や、他の卒業関連イベントが盛りだくさんの特別な年。 チームのキャプテンになるはずだったのに、部活の部長になるはずだったのに、卒業後の冒険が始まる前に友達になっておきたかった子がいたのに。 今年こそが、学校に通い始めてから登り着いた頂点の年のはずだったのに。 でも、世界に広がるパンデミックのせいで、その大切な一年が消えてしまったのです。

ここではっきりと伝えたいことがあります――君たちの卒業の年は盗まれてしまったのです。なんと不公平でしょう。 怒りの気持ちがあったら、その気持ちをしっかりと受け入れるべきです。 友達と一緒に悲しむべきです。 高校最後の年が突然消えてしまうことが一体どんなことなのかわからなくて、君たちの状況に同情しない人もいるかもしれません。

でも、僕は、君たちに同情しています。僕も同じように高校最後の年を失いました。 僕が高校最後の年、ハリケーン・カトリーナが僕の住んでいたコミュニティーを襲いました。 あの金曜日の午後、友達と一緒に学校を出て、それが学校を後にした最後の日だったことをよく覚えています。 僕は、あの年、学校のサッカー部のキャプテンになるはずだったのに、僕が前からずっと恋い焦がれていた生徒とプロムに行くはずだったのに、そして長年の親友と一緒に高校最後の年を終えるはずだったのに。 でも全てが消えてしまったのです。 素敵な年になるはずだったのに、代わりに僕はシェルターに住むことになり、別の州で高校を卒業しました。 辛い日々でした。想像もしていなかった場所で、救いを求めなければならなかったのです。 辛かったけれど、やり遂げました。 今、君たちが直面しているこの混乱状態を見ていたら、あの時の痛みが戻ってきました。

ハリケーンを体験していなくても、このパンデミックの状況が辛いのは理解できます。 学校で働いている私たちは、生徒のことが一番気になるので、君たちの痛みを理解したいのです。 生徒が学校にいなくても、生徒への想いは変わらないのです。 このような状況では、特に卒業生の君たちのことが気になります。 はっきりとわからないことはたくさんありますが、アメリカ中の学校区が、この状況で君たちのために最善の方法で、できるだけのことをしようと、授業日数を短縮したり、事態が沈静化したら学校行事を行えるようにしたりと、色々とアイデアを出し合っていますので、安心してください。 オンライン学習に移行するために、働き続けている先生もいれば、インターネットがない生徒をサポートし続ける先生もいます。 学校の職員は、食事が必要な生徒に食事が届くようにと努めています 。全員が危機的状況にいますが、こんなひどい事態でも、生徒をサポートするためにできる全てのことを僕たちは試みています。 君たちのことを決して忘れていません。 ずっと君たちのことを考えています。 君たちのために我々教職員は存在しているし、何よりも君たちのことを心より心配しています。

人生の中で最も大切な一年であるはずのこの時期にとって代わるものはないし、僕ののみならず、ほかの誰も、それに代わるような事は言えません。でも、励ますことはできます。

今、君たちには、この不運な状況を最大限に活用するパワーがあります。 この10年間、教師をしてきてわかったことですが、君たちの年代は、強靭で、革新的です。 君たちの世代は、色々な世界をナビゲートし、物理的な空間と、デジタル空間を簡単に行き来します。最も多様な人種や民族にあふれている君たちは、大人が簡単にはできない、自分と人との違いを心から受け止めることができる世代でもあります。 勇気を持って、自分から世の中に立ち向かい、批判することもできます。 自分という枠を広げ、普通だと思われていることに挑戦できます。 先生のサポートがなくても、無料オンライン講座のカーンアカデミーや兄弟姉妹に手伝ってもらいながら、勉強中にわからなくなったことも、独自の方法で解決する方法を知っています。 「ポストミレニアルの君たちは、最も教育水準の高い世代となる」でしょう。

私からのアドバイスは、 お互いに助け合うこと、家族を助けること。 それは君たちが必要とされているからです。 おじいさんやおばあさん、近所にいる老人は買い物の手伝いが必要ではないですか? 必要だったら、手を貸してあげてください。 先生の中には、オンライン学習への移行に苦心していて、君たちのサポートが必要な人もいます。 君たちが必要なのです。 テクノロジーを簡単に使える君たちのその技を利用して、みんながもっとつながるようにしてみてください。 「社会的距離」や「身体的な距離」を保ちながら、これまで以上に社会とのつながりを深めてください。 フェイスタイム。 SMS。 ツイート。 スナップチャット。 TikTokビデオ(私はもう時代遅れで一体、今どれが流行っているのかもわからないので笑わないでくださいね)。 こういったプラットフォームを利用して、みんなでつながって、明るくなるようにしてください。 NetflixやDisney +を見たい放題見てください。 ミームを作ってください。 運動してください。 読書をしてください――国語の先生が、読め読めと押しつけたつまらない本を読んでみてください。 漫画を読んでもいいです。 とにかく何かを読みましょう! インターネットへのアクセスのない友人に声をかけてあげてください。 電話をして、どうしているかチェックしてあげてください。 ポッドキャストを聞いてください。 ポッドキャストを作ってみてください。 何か趣味を始めてください。 あとで残るように、日記を書いてください。 君たちは今、歴史的な瞬間を生きているからです。 この状況に大胆に反応することで、歴史が作られるのです。

最後ですが、僕はいつでも君たちをサポートします。 僕のことを知らなくても、僕には君たちの痛みがよくわかります。何かが刺さるような痛みです。 教師として、君たちと一緒に悲しんでいます。 くどいようですが、君たちのことを決して忘れているわけではありません。みなさんが一生懸命今までやってきたこともわかっています。 君たち独自な考え方が貴重なのです。 君たちの大胆な意見も聴こえてきます。 君たちの全てが大切で、君たちから離れていてもその気持ちは変わりません。

君たちのことを思うと本当に悲しいです。正直な気持ちです。心の底より同情しています。これも正直な気持ちです。 こうやってこの手紙を書いている今も、心が痛みます。

でもこの危機的状況を創造的な方法で突き進んでいくことができるのは、君たち自身です。 君たちの世代を沈黙させたり、君たちの情熱を叩き潰したりするような強力なパンデミックはないと思います。 だから、堂々と胸を張って戦い続けてください。 この国にとって、君たちは未来に希望を注ぐことができる大切な世代です。 こんなことが今年起こるとはきっと思ってもいなかったでしょうが、でも僕は君たちがこれからこの危機的状況を乗り越えて、どうやって生きていくかをじっと見守って行きたいと思います。

やっぱり、何があっても今年は、君たちの年なのです。

元気でいてください。

高校教師 クリス・ダイアー


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